コラム

● 演奏家に必要な、緊張の克服に有効な訓練がある?

● あがりやすい人はたいていが「いい人」? あがりやすい人はたいていが「いい人」?
人前で話したりパフォーマンスをする場面では、極度の緊張から身体が震えたり、冷や汗が出るといった「あがり」の症状を経験する人は少なくありません。
ひざがガクガク震えたり、手に力が入らない感覚があったり、口がカラカラに渇いて頭の中が真っ白に…といった状態を経験すると、その恐怖体験が一種のトラウマになり、その後も長く尾を引くこともあります。
歌や演奏、ダンスなどの本番前なら、舞台袖で出番を待ちながらその場を逃げ出してしまいたい気持ちに襲われることは、決して珍しくありません。
「失敗するのでは」「何かしでかして、笑われたら生きていけない」「信頼をなくすかも」等々、起きてもいない悪いことを想像して、身体が動かなくなってしまうのが人間なのです。
最近では、あがりの原因に対する科学的なアプローチも見られますが、結局のところ「人から変に思われないか」「人を不快にさせるのではないか」といった、社会的な対人不安からくる恐怖心が根底にある、というのが通説です。
また、日本人にあがり症が多いと言われるのは、他人の目を気にしすぎたり、生真面目で完璧主義な気質のゆえに、失敗を極度に恐れる気持ちが強まるからなのかも知れません。

● イメージの入れ替えで「あがり症」を克服 イメージの入れ替えで「あがり症」を克服
世界的な一流のアーティストでも、本番前に恐怖を感じない人はいません。
それでも彼らはステージではそんなことが信じられないほど余裕のある態度で現われ、最高のパフォーマンスを披露し、観客を熱狂させます。
ただ、一流の人があがらないように見えるのは、特別な人だからではなく、恐怖感や不安感を上手くコントロールし、本番で実力を出し切れるようメンタル面を整える術に長けているからです。
たとえば、多くの声楽家や楽器演奏家、俳優などに支持されている「アレクサンダー・テクニーク」メソッドのように、一流の人々は不要な心身の緊張を取り除いてパフォーマンスを高めるための、様々なトレーニングを実践しています。
同メソッドが示す、本番で最高のパフォーマンスを実現するためのヒントを少しご紹介しましょう。
まず緊張やストレスの存在を認め、その気持ちの根底にあるものを特定します。
それが真実なのか、単なる思い込みかを問いかけ、さらに自分が望む結果なのかどうかについても考えてみましょう。
すると「本番で失敗したら、クビになるかも知れない」という不安は、「本番で失敗しても、クビにはならないかも知れない」と言い換えることもできることに気づきます。
つまり、自分を立ちすくませる「あがり」の原因は、すべて自分で作り出した「可能性のお化け」に過ぎません。
その事実をふまえて、ステージに立ったとき、あがっている自分のイメージは捨て、思う存分実力を発揮している自分を思い描くようにしましょう。

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