コラム

● 手工芸品としての価値も楽しめる弦楽器の魅力

● 弦楽器の製作方法はいろいろ 弦楽器の製作方法はいろいろ
ヴァイオリンをはじめとする弦楽器は、全て木質材を使う点が共通していますが、製作方法から見て「手工芸楽器」と「量産楽器」の二通りに大別されます。
量産楽器は、短期間で大量生産するので、強いていえば工業製品に近い考え方です。
丈夫で壊れにくく、手に入れやすい価格であるほか、各部分の寸法が正確なので修理がしやすいこと、豊富なサイズから選べることなどがメリットです。
しかし、コストパフォーマンスを優先した分、どうしても材料や製作の質的な面が劣るのはやむを得ないと言えます。
特に、短期間で完成させるために、時間のかかるニス塗りや仕上げなどの工程に粗さが目立つのも、量産品のデメリットと言えるでしょう。
音色の良さや深みにこだわれば、全てが手仕事による手工芸楽器には及ぶべくもありませんが、初めて弦楽器に触れるビギナーや、趣味として弦楽器を楽しみたい人の場合、まずはリーズナブルな量産楽器から入ることは全く問題ありません。

● 手工芸品としての側面を持つ弦楽器 手工芸品としての側面を持つ弦楽器
マスターメイドとも呼ばれる手工芸楽器は、一人の楽器職人がほとんどの工程を手作業で作り上げるものです。
手工芸楽器は、職人の技術の習熟度がそのまま反映されるだけでなく、職人の楽器づくりへの思い、気概や魂が込められています。
演奏者がよく、愛用の楽器と出会えたときの感動を語るのは、そうした職人の心意気や個性が自分の魂と呼応したときの喜びが何物にも代え難い体験であったからです。
手工芸楽器の良さは、何と言っても品質の良さ…と言いたいところですが、職人の技術レベルは千差万別なため、実際には品質、音色、価格のいずれもピンからキリまでというのが現実です。
しかし、名人と称される熟練の職人の手になる弦楽器は、どんなに高価であっても、一流の演奏家にとって「喉から手が出るほど」欲しいものであることはお分かりでしょう。
世界的な名器として有名なストラディヴァリやグァルネリなどは、値がつけられないほど高価です。
そのため、昔は家屋敷を売って手に入れる人もいましたが、現代では大企業が所有してアーティストに貸与する、といった方法も知られています。
一人の職人が全工程を手がける手工芸楽器の他に、「手工量産」という製作方法もあります。
これは、職人がそれぞれ得意な工程に専念する分業体制の方式で、作業効率が良くなる分、そのコストをクオリティ向上に注げるのがメリットです。
そのため、高額な手工量産品には手工芸楽器をしのぐものもあると言われます。
弦楽器の魅力は、奏でられる音色だけでなく、独特の形や深みのある色ツヤをも楽しむことのできる、優れた手工芸品としての側面にも負うところが少なくないのです。

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