● メンタル面の効用から考えるクラシック音楽のパワー
● 音楽のエキスが心身を癒す?
古代エジプトや古代ギリシャの昔から、音楽は心身に有益な効用をもたらすものとされてきました。
音楽は、舞踊と並んで人類の発達の初期から大きく関与してきた要素です。
実際に、喜びや悲しみ、怒りなどの豊かな感情や、団結力、一体感を音楽や踊りで表現する手段は、世界中のあらゆる文明に見られます。
そうしたルーツを持つ音楽や舞踊は、一説によると言語が成立する以前のコミュニケーション手段であったとも考えられているのです。
そのように人間の情緒や心象の深くに根ざす音楽が、私たちの生活や人生に幸福をもたらすと考えることは、ごく自然の成り行きと言えます。
さて、ストレスからくる心身の症状の緩和において注目されるのが、様々なジャンルの音楽を用いた音楽療法(ミュージックセラピー)の効果です。
音楽療法は、症状に合うとされる曲を聴くことから、歌や演奏、踊りなどの幅広いアプローチで、ストレスによるうつ状態や痛み、不眠などの症状の緩和、心拍数や血圧の安定、集中力強化等の効果が得られた結果が報告されています。
● 聴けば聴くほど幸せになるクラシック音楽
多くの音楽ジャンルの中で、クラシック音楽はストレスを緩和するリラクゼーション効果において群を抜いていると言います。
これは、リラックス下で発生するアルファ波が増えることが大きな理由ですが、実はクラシック音楽は親しむほどにいろいろな効用が期待できるのです。
クラシック音楽は基本的に、リズム、メロディ、ハーモニーの3要素が複層的に調和した、非常に高度な構成になっています。
人の脳は、より複雑なもの、難解なものを理解したときに快感を得るので、クラシック音楽を聴くことは高次機能を司る部分を刺激することになり、「進化の喜び」とでも言うべき強い幸福感を引き起こすのです。
また、好きな曲や心地よい旋律を聴くと、脳内に分泌される快感物質のドーパミンやエンドルフィンが、痛みや不安を鎮めてくれます。
たとえば、嬉しさで興奮しているときはケガの痛みを全く感じないことがありますが、これもエンドルフィンの働きによるものです。
さらにクラシック音楽は、同じ曲目が指揮者や楽団によって解釈や演奏がそれぞれ異なるところも大きな特徴なので、聴き比べの楽しさを知り、聴き込むほどに世界が深まります。
そうした喜びが積み重なって、やがて豊かなハーモニーを生み出すところを想像するだけでも、クラシック音楽が心身にもたらす計り知れない効用に納得がいくのではないでしょうか。