マエストローラ音楽院・スタジオ・サロン

2011.02
ピアノ・グループ INT SQUARE
2010.04
東京新聞
ピアノの練習会の様子

2011.02

ピアノ・グループ INT SQUARE

数十人の会員が集まる INT SQUARE は、毎月1回、レンタルサロンでピアノの練習会を開催しています。 その会報誌に「マエストローラ音楽院」のインタビュー記事が出ました。以下はその内容です。

ーいつもは当コミュニティのメンバーの方のインタビューを載せていますが、 今回は発表会の会場「マエストローラ音楽院」を運営されている木下理事長に音楽院設立の経緯などを伺ってみました。

最近ピアノの調律師さんを変えたんですよ。1年ぐらいお願いしていた方だったのですが・・。 私はクラリネットを吹くのでピアノの方はあまりわからなくて。

スタインウェイピアノ

ー昨日の発表会で弾かせて頂きましたが、以前より弾きやすかったです!
このピアノはどんな経緯でこちらにあるのでしょうか?

当音楽院長の林夫妻(註;旦那様はオーケストラでヴィオラを弾かれていて、奥様はピアニストの音楽家のご夫妻)からお借りしています。林さんは海外で長く活躍されていて、このピアノは1980年代ドイツにいらした時に中古で買われたものだとか。 楽器自体は1930年代(第二次世界大戦前)に作られたハンブルグスタインウェイで家庭用です。日本に持ち帰ったあとオーバーホールをして1年たったところです。

ーそうでしたか・・。
楽器は古いものの方が値打ちがあるとのことですし、やっぱりいいピアノなんですね。
それだけいいピアノなのに、木下さんご自身はクラリネットを演奏されるのであまり触らないのですね・・。 クラリネットを始められたきっかけは?

高校1年生の時に学校でオーケストラがありそれで始めました。 前述の林さんはこのオーケストラにも所属していて、20代からアメリカを経由してドイツのシュトゥットガルト室内管弦楽団に入っています。

ー木下さんご自身は音楽の道には進まれなかったんですよね。

私は大学を卒業した後はビールメーカー(註;キリンビール)に勤めました。 その後UCC上島珈琲を経て外資系の社長(註;現ユニリーバ・ジャパン・・代表ブランドはラックスやリプトン)になったので退職するころにはそれなりの貯えができ、 それでこのマエストローラ音楽院を創設したんですよ。

ーこれだけの施設を個人で揃え、運営されるのは本当にすごいことだと思います。

退職した後、時間ができたのですが、旅行は海外出張をしてきたので十分すぎるほど旅行は行きましたし、、 ゴルフばかりで過ごすのもつまらないので、「世の中に役立てて、自分自身も楽しめる別のことを何かやりたい」と思いました。それでこのマエストローラ音楽院を始めたのです。

ー音楽に関わることを始められたのですね。

社長だったころは、朝早く運転手さんに送ってもらうところを一人で運転して、人気のないところで降りてクラリネットを吹いていたり、その前の時代、社内で意見がまとまらず厳しかった時にショスタコービッチの曲を聴いて勇気づけられたりと、音楽に救ってもらった経験がいろいろあります。

ー初めてこちらに伺った時、音楽の好きな方が運営されているなと感じました。設立当初はどんな感じでしたか?

まず、広域から音楽好きな多くの人が集まって来られるように立地を7、80か所は検討しました。某不動産会社の役員の方に頼んで随分探してもらいました。池袋にもよさそうなところがあったのですが、隣が遊戯施設で断念したり。最終的にターゲットの人達が来やすいのは新宿か表参道だとわかり、新宿3丁目から新宿御苑のあたりを探したのです。また防音を考えると、地上に防音施設を作るのはお金がかなりかかるので、新宿のヤマハからヒントを得て地下に作ることにしました。この場所は最初機械室みたいなところだったんですよ。

最初は共同出資者を募ろうかとも考えたのですが、例えば「どうしてこのカーペットなのか、もっとコストダウンが必要だ」などと些細なことに見えてもコンセプトに合わない他人の意見を受け入れなければならない可能性があるので、すべて自分の資金でやりました。「こんな場所を作りたい」というビジョンがあったので。

ーどんなビジョンでしょうか。

マエストロ、マエストラ(註;マエストロは巨匠の男性名称、マエストラは巨匠の女性名称)と言える講師陣が集まり、個人の演奏技術やアンサンブル(合奏)の真髄を教えてくれる音楽院を作ることです。一般の人達やプロの卵が、最高の音楽環境の下で一流音楽家に学べる機会を増やし、腕を磨ける場所に、そして、レッスンだけでなく、レンタルされる人達にとっても仲間たちと共に心から音楽を楽しめる場所にしたいと考えています。

その意味で、マエストローラ音楽院を世界に通じるブランドにまで育成していきたいと思っています。そのために看板やチラシからウェブサイト(ホームページ)まで、ブランドロゴマークを入れ、細部にわたってマエストローラ・ブランドを浸透させるよう尽力しています。このマークはリプトンのパッケージをデザインした人を中心するチームに頼みました。 床もカーペットもお手洗いもブランドコンセプトの一環ですよ(笑)。

ーそうですか・・・。講師の方々は世界で活躍されている方もばかりなのですね。

小澤征爾さんが復帰されて有名なサイトウ・キネンオーケストラというオーケストラがありますが、偶然にもそこで演奏されている音楽家3人に講師をお願いしています。3人の先生は私や林徹也さんの人脈を辿ってそれぞれ別々にお声掛けしたので、後で、彼ら3人がサイトウ・キネンでマエストローラ音楽院の話をしたと知りびっくりしました。

ーそれはオドロキですね!

この音楽院ですが、1人で演奏するだけでなく他の人と一緒に演奏する楽しさを味わえる、つまり、室内楽ができる場所を提供したいとも思っています。たとえば音大のピアノ科を卒業した人も、ソロ活動がメインであまり他の楽器と合わせる経験がなかったりしますし。よって先生は、素晴らしい合奏(アンサンブル)をするに際して、あるべき音楽上の共同作業を教え、コミュニケーションができる方をお招きしています。

ーそういう基準も考えられているのですね!

講師をお願いする時は、どういうお考えでレッスンされるのかを事前に伺うようにしています。 私の考えですが、たとえばアマチュアの人の演奏が100のうち1つしか良いところがなく残り99がダメでも、 その1の良いところを50にまで引き上げるのが良い先生だと思います。海外で論理立ててレッスンを受けてきた先生が多いので指導に裏付けがあり、「何故こう手を動かすと音がよくなるのか」「なぜここでクレシェンドにすると効果があるのか」などを的確に指導してくれます。

ーレッスンを受けたくなりました(笑)。

日本に年に1、2回しか来ない先生もいらっしゃるので、機会があれば受講されるといいかもしれないですね。

ーコンセプトが最初にあって、それをカタチにされているのですね。

自宅を改修してサロンにしているわけではないので毎月家賃はかかりますし、まだ社員を雇える状態ではないのでここの留守番は私を含め4人で交代してやっています。収支の見通しはなかなか立たないのですが(苦笑)。 ここにいらっしゃる方があまり緊張せず、「こんな部屋で朝から晩までリラックスして演奏していたいな」と思っていただける、そんな空間にしたいと考えています。

〜編集後記〜
会場がマエストローラ音楽院さんに移って早1年になりました。毎月のコミュニティの開催場所を探していた当時、こちらに見学に伺って「ここなら安心して演奏できる」と思ったのをよく覚えています。今回改めて理事長でいらっしゃる木下さんにお話を伺えてとても良いお話を聞かせて頂きました。
木下さん、お忙しいところありがとうございました!

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