コラム

● 音色と音域に見る木管楽器の豊かな世界

● リードの有無で見極める木管楽器 リードの有無で見極める木管楽器
木管楽器は、クラシック音楽の枠を超えてジャズやポップスの分野でも大活躍する、完成度の高い楽器群です。
ソロ演奏から、オーケストラの要素としても欠かせないパートであるフルートやクラリネット、ファゴット等々は、深く温かみのある響きから若々しく軽やかな調べまで、豊かな表現力を持つところが最大の魅力ではないでしょうか。
木管楽器と金管楽器の分類の線引きはしばしば論争になるテーマですが、「木製の楽器だから木管楽器」というのは誤りです。
実は、木管楽器は「リードの振動によって音を出す楽器」群、「マウスピースを使って唇を振動させて音を出す楽器」を金管楽器、と大きく分類されます。
ただ、木管楽器はクラリネットのようにリードがあるものと、フルートのように息の強さや流れで吹き口から音を出すものなどに分かれ、これがアンサンブルに厚みを与える理由にもなっています。
最も歴史が古いとされるフルートは、かつては木材から作られていた木管楽器の代表です。
「フルート」が「息」を意味する言葉を語源とするように、最も多くの息の量を必要とする楽器です。
フルートの場合、低音域はオーケストラの中にあっては目立ちませんが、中音域になるとがぜん華やかさと存在感が増し、高音域では軽やかで透明感ある音色が聴衆を魅了します。 まさに、スター級の輝きと華のある楽器です。

● いつも人のそばにいる楽器たち いつも人のそばにいる楽器たち
17世紀前半に登場したクラリネットは、先端をごく薄く削ったリードを取り付け、リードと空気の振動から音を出します。
「最も人の声に近い音色」を持つ、と言う人もいるように、体温を持っているかのような温もりと滋味、時にはユーモラスな人間味まで感じさせるのが特徴です。
音域によって音色の特性の「振れ幅」が非常に大きく、低音~中音域では鈍さを含みますが、高音域では軽快さや饒舌さが増し、最高音は金切り声のようにも聞こえます。
こうして見ると、まるで人の心の動きをそのまま表現するかのようなクラリネットが、「人間に最も近い」楽器と言われることにも納得してしまいそうです。
オーボエは、2枚のリードを使うダブルリードの楽器で、木管楽器の中で特に鋭く大きな響きを持ちます。
世界中に似た楽器があり、野外で踊りの伴奏などに使われることも多かったオーボエは、金属的で典雅な独特の音色によって、ときにノスタルジックに、ときにエキゾチックに、印象的なシーンを奏でるのが得意です。
ちなみに、オーボエがオーケストラの音合わせをリードする理由は、もともとオーボエは非常にチューニングしにくい構造を持っているため、オーボエのその日の調子を基準にして他の楽器が音を合わることになった、という説が有力のようです。
木管楽器にじかに触れ、演奏をすることは、クラシック音楽の豊穣な世界に一気に引き込まれる体験となるでしょう。

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