コラム

● ときには音楽家の「名言」にも耳を傾けてみよう

● 苦悩の果ての光明に触れる 苦悩の果ての光明に触れる
人々の乾いた心にしみ入るような名言を残すのは、政治家や小説家、哲学者ばかりではありません。
音楽家としてあまりにも著名なルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの遺した数々の言葉は、逃れ難い苦悩に満ちた運命に独りで抗い、ときに光明を見出すといった、苦闘の生き様を浮き彫りにするものです。
たとえば、「人生で避けられない不幸や苦しみを自分の運命として受け止め、辛抱強く耐えつつその運命と正面から闘うことで、必ずや勝利を手にすることができる」とは、貧困と病に苦しんだ彼の生涯を貫く、最も大きなテーマでした。
「有限な存在でありながら無限の精神を持つ私たちは、苦悩を突き抜け、歓喜するために生まれてきた」という言葉の後ろには、現世の労苦を克服しようと誓う意志があり、音楽こそがその助けとなり得ることに救いを見出した、彼の芸術家としての姿勢が浮かび上がってきます。
「音楽のドラマを伝えるためには、演奏家は役者であるべきであり、音楽を感じ、顔と身体で感情を表現しなければならない」とは、現代の芸術論や音楽教育の場にも十分通用しそうです。
交響曲から小品まで、数々の名曲が時代や国境を超えて愛されるのは、彼自身がこのように古びない感覚の持ち主であったこととも決して無関係ではないのです。

● 人間の存在理由と結び合う音楽の本質 人間の存在理由と結び合う音楽の本質
同じく天才的な音楽家であったモーツァルトは、天衣無縫という表現がふさわしい流麗な旋律によって、今なお世界中の人々を魅了しています。
波乱に満ちたその生涯は謎に覆われた部分も少なくありませんが、「音楽は自らの人生であり、人生は音楽である。このことを理解できない人は、神に値しない」という彼の言葉は、天才がたどるべくして到達した境地であり、彼本人の実人生と音楽性の本質をまさに言い当てたと言えるでしょう。
音楽家にとって、音楽とは生きることそのものを意味していますが、それは常に喜びと苦悩が交錯する「普通ではない生き方」を自らで選んだことでもあります。
「感動とは人間の中にではなく、人と人との間にあるものだ」という、ドイツの指揮者・フルトヴェングラーの言葉は、音楽の本質を別の視点から俯瞰することで新しい気づきを与えてくれるでしょう。
「演奏を聴いて思い出したと感じている音楽はすべて、あなたの内側から呼び覚まされているのだ」とは、米の詩人ホイットマンの言葉ですが、全ての人々の心にあまねく音楽が存在するといった、不思議な感覚にいざなってくれます。
さらには、「音楽だけが世界語であり、翻訳される必要がない。そこにおいては魂が魂に話しかける」と西洋音楽の父J.S.バッハの言葉に、「音楽はいつだって世界中の人々の心に訴える、最も強力な言語のひとつだ」というギタリストのジミー・ペイジのコメントが重なることは、音楽と人間の関わりについて、興味深く喜ばしい示唆を与えてくれるのではないでしょうか。

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